タイトル『アバンチュール 第5話』
















雨は降り続いていた。


探しに出る際に温めたミルクは、既に冷めているだろう。


それでも二人は、探し続ける。


あの日、あの場所・・・・・思い出の場所へ





































エアーは震えていた。


元はといえば自分からの行動だが、今になって後悔の表情だった。


しかし、ここで諦めては元も子も無い。


『 必ず、必ず来てくれる。 』


そう信じて、エアーは二人を待ち続けた。


















「エアー、どこにいるのー!?」


微かに声が聞こえたのは、それからすぐの事。


その声につられて姿を見せようとしたエアーだが、踏み止まる。


『 ここなら、二人は素直になれるはず 』


小さな体を懸命に支え、エアーは二人の到着を待った。
























































「エアー!?・・・よかった・・・!!」


いつの間に気を失っていたのだろうか。


気が付くと、エアーはの腕に納まっていた。


ふと、を見上げると は嬉しそうに微笑む。


「心配したんだからね?・・・でも怪我は無いみたい、よかったわね。」


の隣にいたアルも、嬉しそうに笑っていた。




ミー




あの時と同じ声を出す。


雨も上がった澄んだ空気に、エアーの声が混ざり合う。
























































『 ・・・そういえば、何故は僕を呼んだのだろう。兄さんでも良かっただろうに。 』


アルはの横顔を見つめて、ふと思う。




・・・・・・・・




アルはハッとエアーに目をやる。


の腕の中から、エアーがじっとアルを見ていたのだ。


『 そうか、君が計画してくれたんだね? 』




ありがとう、エアー




そう心の中で呟くと、アルは静かに話しだす。
























































「ねぇ、。ここでの出来事、覚えている?」


唐突なアルの言葉にキョトンとしながらも、は嬉しそうに答える。


「うん、もちろん。ここで、エアーと出会ったんだよね・・・懐かしい。」


はそっと微笑んだ。


雨で濡れた髪が、を余計に美しくさせる。


その光景に、アルは見惚みとれてしまう。




いつから、こんなに綺麗になったのだろう




触れたくなるほど華奢な


見つめるたび、その視線は逸らせない。










「・・・でも、どうして?」


は急にアルを見た。


一瞬の出来事に目を泳がせたアルだったが、エアーに後押しされるように こう切り出す。








































「実はさ。あの頃から、ずっと・・・ずっとの事が好きだったんだ・・・。」
























































風が静かに通り過ぎる。


雫は優しく大地に滲み込む。


二人の間の時計だけ、止まったような景色が広がる。























拳を握り、頬を赤らめ、溢れる想いを口にした。


アルはそっと視線を上げる。


迷惑だったろうか


そんな思いを抱えながらも、捉えたは泣いていた。





































「ほら、また泣くー。」


アルは苦笑して、涙を拭う。


「・・・だって、アルが私の事好きだ・・・・・なんて思っても、みなかったもん・・・」




「・・・どうして?」


いつもの優しいアルの笑顔。


覗きこむその仕草も、全て全て愛おしい。


「いつも・・・女の子が周りにいたし、話す機会も減っちゃったんだもん。」


は、ずっと思っていた事を口にする。


不安で不安で、しょうがなかった。


好きなのに伝わらない、もどかしい想いを少しずつ。


















「ずっと、隣に居たかったの。・・・でも、いちゃいけないと思って・・・」


















肩を震わせるの頭を撫で、アルはこう言う。


「僕は、の側にいたいし、いて欲しい。僕じゃ、役不足かも知れないけれど・・・」


その言葉に、はアルに抱き付いた。




「そんなことない!!」




エアーは、側のバスケットにそっと入った。


「私も、ずっとアルの事が好きだったの!でも、伝える自信が無くて・・・」


行き場を無くしていたアルの腕も、この言葉によって行き場を見つける。


アルは、そっとを抱き締めた。




「ありがとう、。」




アルの腕の中のは、嬉しそうに顔を埋める。


曇っていた空も晴れ渡り、満月が二人を照らし出す。


















「さあ、帰ろう?皆が心配しているよ。」


エアーの入ったバスケットを片手に、アルは歩き出す。


『 良かったね。 』


そう言わんばかりに、エアーはアルを見上げる。


は少し後ろを、少し遅れてついていく。


ふと、アルは足を止めた。


は不思議そうに、首を傾げる。





































「・・・もう、こうしてもいいんだよね?」





































そう言って、片手を差し出した。




「・・・うん・・・!」




は赤くなってその手を取る。








































二人は歩き出す、ゆっくりと。


















あの日と同じ、あの日のように。


















繋いだ手は、離さない。


































Fin.




あとがき。

読んで頂き、有難う御座いました!初のアル夢、完結ですっ

長かった・・・(更新しないのが悪い)

ちょっとスランプで、書けなかったんです・・・

書きたいと思うようになったので、まだ閉鎖はしないかなと(^^ゞ

少しだけ、閉鎖も考えてしまったんです。

でもコメントとか掲示板に新しく書きこんで下さる方や、いつも来てくださる方に感謝です。

こんなちっぽけなサイトを見つけて下さって、応援して下さるんですもの・・・

コメントか頂くと、「まだ、続けてもいいのかな?」って思えます。

有難う御座いました。

まだ、完全復活とまでは行きませんが見守って下さると嬉しいです。



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