タイトル『あなたに誓うは永遠の忠誠 第14話』
















次の日の朝、駅にはエドたちの姿があった。



始発の列車で、次の街へ行くという計画だ。



信憑性の薄い情報だが、入った事が幸運と思う二人は それを頼りに一歩一歩前へと進む



二人が求める未来へ、願う未来を叶える為に






「まったく。お前さんたちは風のようにやってきて、風のように去るんだな。」



見送りに来てくれた街の人が二人に言った。



エドとアルは苦笑して、アルがその人に言葉を返す。



「騒がしくてすみませんでした。でも、僕たち この街のこと絶対に忘れません!」



その言葉を聞くと、見送りに来た人々は満足そうに頷いた。



ただ一人、を覗いては・・・










は俯いたままだった。



別れが悲しいわけではない


しかし 気丈に振舞えるわけでもない


逢えなくなるのが寂しいわけではない


ましてや それを嘆くわけでもない



二人が 無事に目的を果たせるかどうかが気がかりだった。



同じ場所で時を過ごしてしまった今、その目的の重さをひしひしと感じる。



約束された未来はあるが、それが現実になる保障は無い。



二人が無事であることを、心の底から祈っていた。



「・・・?」



エドの声に気付き、ハッとは顔を上げる。



の視界に映ったエドは、チョイチョイと手招きをして見せた。



不思議に思っただが、エドの元へ吸い寄せられるように近寄る。



合い向かえの形になると、エドはいきなりを抱きしめた。



「エ、エド!? ちょ・・・皆見てる!!」



驚き、少し抵抗したに構わず、エドは抱き締めたまま静かに言った。





「・・・オレの代わりに、泣いてくれねぇか・・・?」





プツンと、張り詰めていた糸が切れたようだった。







「・・・離れたくなんかないよ・・・!」











「・・・不安だよ、死んじゃわないで・・・」











「・・・エドがいなくちゃ、生きていけないもん・・・!」











「・・・ずっとずっと、傍にいて欲しい・・・ 」








我慢していた涙や言葉が、次々と外へ零れだす。



エドは、頷きながら無我夢中で抱き締めた。



一筋、涙を伝わせながら






『 列車発車、5分前です。ご乗車のお客様は、乗車になってお待ち下さい。繰り返します・・・ 』



そのアナウンスは、旅立つ者へは希望に聴こえたが 今の二人には残酷なものでしかない。



名残惜しそうに離れる二人



から離れたエドは、の父親の前へ進み出た。



しっかりと、父親の目を見据える。



「次にこの街へ帰ってきたら、娘さんと結婚させて下さい。一生を懸けて・・・幸せにさせて下さい!



エドは、バッと頭を下げた。



を始め、辺りにいた人々が騒ぎ出す。










どのくらい沈黙が続いただろうか。



頭を下げたままの状態のエドに、の父親は ただ一言こう言った。



「・・・必ず、生きて帰って来い・・・」



「・・・はいっ!!」



二人のやり取りに、はその場に泣き崩れた。



そんなの傍へ寄ると、エドはの肩を抱く。



「待っててくれな・・・? 行って来る。」



微笑むエドに、は精一杯の笑顔で返す。



「いってらっしゃい。」



二人は立ち上がり、見つめ合った。



そして、最後のキスを交わす。




プルルルルーーーーー




発車の汽笛が鳴り響く



繋がれていた手が、解かれる



瞬く間に、二人の間に隔たりが生まれ・・・



蒸気の音が耳に障る



車輪の音が聞こえ始めた



徐々に二人の距離が離れていく



自然に は走り出す



そんなを見失うまいと、エドは窓から顔を出す



「手紙書くから・・・!元気でいろよ・・・!!」



掻き消されそうな言葉たちを、必死で聞き取り言葉を返す



「うん、待ってる!!エドも元気で・・・!」



エドは頷き 手を振った



だんだんと遠ざかる愛しい姿



負けじと、も振り返す



列車が見えなくなっても尚、はその軌跡を見つめ続けた










数日後、愛しい人から便りが届いた。



手紙の最後に、小さく綴られた文字がある。





今度あなたに逢う日には、私はあなたに伝えるでしょう


溢れんばかりの この愛を



そして 静かに誓うでしょう


尽きることない忠誠を



永久に永遠に、あなたのために・・・























<FIN>




あとがき





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