タイトル『あなたに誓うは永遠の忠誠 第2話』
そう言えば・・・あの人の手、冷たかったな
ふと、は図書館からの帰り道、そんな事を思い出した。
しかし特に気にする事なく、市場へ買い物に急ぐ。
相変わらず、市場は賑わっていた。
「いつ来ても賑やかだなぁ、ここ。」
は、宿泊者の夕食の材量の買い足しにやってきたのだ。
「おじさん!じゃがいも足りないんだけど、良いの入ってる?」
馴染みの店を渡り歩き、足りない材料を揃えていく。
「じゃがいも、よし。トマト、よし。・・・」
一通りの買い物が終わり、市場を後にしようとしたその時だ。
ドンッ
小柄なには荷物が重かったのか、耐え切れずにバランスを崩してしまった。
そして、運悪くこの辺りでは評判の不良にぶつかってしまって・・・
「
いってぇ〜〜〜。・・・おい、どこ見て歩ってるてんだぁ?」
あの独特の口調・・・ は怯えながら謝る。
「すっ、すみません。荷物が重くて・・・」
しかし、謝る事の意味もなく男はに近づく。
「お譲ちゃん、可愛いなぁ?・・・俺らと遊んでくれたら許してやってもいいけどよ?」
は顎を持ち上げられ、視界に男が映った。
先ほどの図書館でぶつかった青年とは、比べ物にならない程顔立ちが悪い。
『最悪!こんな所で不良に絡まれるなんて・・・。図書館のあの人とは、顔も態度も大違いだわ!!』
ギュッと、は瞳を閉じた。
助けてくれる気配など、どこにも感じない。
と男たちを囲む人々は、心配しているものの近づけなかったのだ。
諦めかけ、男の問いに答えようとしたその時、
「おいおい・・・女一人に、男が大勢は無いんじゃねぇの?」
それまでたちを囲んでいた、円の一部が崩れた。
その真ん中に立っていたのは・・・
『え!?あの時の・・・』
そう、先ほどの頭の中にあった青年。
不良たちはから離れ、その青年に歩み寄った。
「お前、俺たちの事知ってんのか?その意気込みだけは褒めてやる・・・ぜっ」
男は薄気味悪い笑みを浮かべながら、青年に殴りかかった。
「こんな奴、手を合わせるまでもねぇな・・・」
青年はぼそっと呟き、男の攻撃を鮮やかにかわしてしまった。
そして男の腕を掴み、地面にねじ伏せる。
ほんのわずかな間の出来事に、その場にいた全員が目を丸くした。
そして、微かに拍手が起こる。
は、恐怖からの解放でぺたりと地面に座りこんでいた。
側にいた鎧をまとった人が、素早く男たちを縄で縛る。
そして、そのままこう言った。
「すいませーん、誰か警察か何かに連絡して下さい。このままだとこの人達、可哀想ですから。」
先ほどが野菜を買った店の店主が、その言葉に慌てて受話器を手にした。
「大丈夫か?」
ふと視界が暗くなり、頭の方から声がする。
見上げると、そこには図書館の青年がいて・・・
「・・・!お前、さっきの。」
青年もに気がついたらしく、あの時のように手を差し出してくれた。
「お前、よくぶつかるんだな。・・・前見てるのか?」
半ば、呆れたように笑いながら。
は恥ずかしかったが、事実は隠しようもないので顔を赤らめた。
あの時のように青年の手を借りて立ち上がる。
が俯いたままでいると、青年は優しく微笑んだ。
「・・・怪我は無いか?」
そっと、の頬に手を添えて。
「はっはい!大丈夫です。・・・有難う御座いました。」
突然の出来事に驚いたは、慌てながらも返事を返した。
「兄さん!もうすぐ警察来るってよ。」
「サンキュー、アル。・・・じゃあ、気を付けて帰れよ。」
青年は鎧の人の方へ向かって歩き出した。
は、何故か「引き止めなくてはならない」という衝動に駆られていた。
そして、意を決して口を開く。
「あっ、あの・・・!」
後ろからの唐突な声に、青年は振り返った。
「・・・どうした?」
「よろしかったら、お名前と連絡先教えて頂けないでしょうか?後でお礼をさせて下さい。」
言い終えるのを聞くと、青年は申し訳無さそうに言った。
「すまねぇな。俺たち、旅してるから特定の連絡先は無いんだ。」
「そうなんですか。・・・じゃあ・・・」
は必死で考えた。そして、ある考えに辿り着く。
「今夜の宿は決まっているんですか?」
「・・・いや。今探してる所だ。」
この返答に、は目を輝かせる。
「じゃあ、うちに泊まって下さいませんか?父が宿屋をしているので、よろしかったら・・・」
語尾の方は祈る気持ちだった。青年は少し考えていたが、笑顔を見せた。
「・・・じゃあ、世話んなるかな。」
「・・・はいっ!」
おーい、アルー。今夜の宿決まったぞー そんな事を言いながら、青年は鎧の人を呼んだ。
アルと呼ばれた鎧の人は、の前に来てぺこりと頭を下げた。
「初めまして、アルフォンス・エルリックです。お世話になります。」
突然の自己紹介に、は自分もあいさつを返した。
「はっ初めまして。・と申します!」
最後に青年が、
「初めましてじゃねぇよな?・・・エドワード・エルリックだ。よろしく、。」
そう言いながら笑顔を見せた。
やっと物語が動き出しました!どうして私の夢小説は展開が遅いのでしょう・・・
テンポの良い話が書けるようになりたいです。
では、これからも書いていきますのでお付き合い下さると嬉しいです。
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