タイトル『偶然?運命?神の悪戯?・・・私は貴方を信じてる 第1話』
キーンコーン カーンコーン・・・
「皆、また明日ねー!」
は学校が終ると1番に教室から飛び出した。
皆が
呆気にとられている中、早く帰らなければ間に合わないテレビの再放送のため足早に校門を出た。
「やっば〜い!あと15分で始まっちゃうよぉ。・・・いいや、今日は特別こっちから帰ろうっと。こっちならギリギリ間に合いそう!」
は学校を出てすぐの裏山の道を通って帰る事にした。
その道は学校まで25分掛かる所を10分で行ける、にとって嬉しい道だ。
しかし、その道は古くから<神隠しに会う>とか、<不吉な事に巻き込まれる>など良い噂の全く無い道。
いつも忙しくて家にいない親に「絶対に通っちゃダメよ!」と、言われている道だ。
それにその山の頂上付近には現在使われていない井戸があって、それだけでも街の人々を
倦厭させている。
少しの恐怖があったが、「まだ明るいし、今日もお母さん達帰って来ないんだからバレない。大丈夫だろう」と言う軽い気持ちからはその裏道を進んで行った。
「だぁ〜〜〜〜〜っ!!ま〜た空振りかよっ!!!」
「まあまあ、兄さん落ち着いてよ。また明日場所を変えて探せばいいじゃない。」
いつもの事ながら弟は兄を慣れた口調でなだめていた。
「お前が良くても俺はよくないっ!早くお前を戻してやりたいんだ!!」
兄・エドワードの意思の曲がらない口調に、弟・アルフォンスは苦笑しつつも感謝した。
空は段々と暗さを帯びていて、星達が微かに
瞬いている。視界が一番悪い時間帯。
2人は図書館からの帰り道、泊まる予定の宿へ足を進めた。
その帰り道の途中、エドは来た時には無かったと思われる、さほど大きくない
(エドは入ってしまうだろう)穴を見つけた。
「おい、見て見ろよアル。この穴どれ位深いんだろうなー」 先を歩いていたエドが興味深そうにその穴に駆け寄った。
「もうっ、兄さんってば危ないでしょ?落ちちゃったらどうするんだよ」 アルは心配そうに後を追う。
ジャラッ
アルが近づいたのと同じ頃、深くまで覗き込んでいたエドのコートの内ポケットから何かが落ちたと思われる音がした。
しかし、幾ら耳を澄ませても土に当たる音がしない・・・ エドは何が落ちたのか判らず一瞬考えた。そして・・・
「やべっ・・・!もしかして銀時計っ!?」
エドは銀時計を入れていたはずのポケットを引っ掻き回し、無い事に気づくと顔からサァーっと血の気を引かせた。
「兄さんっ!!??どうするのさ!あれが無いと兄さんが苦労するんだよ」
「・・・どうするの?今日はもう暗くて探せないから明日の朝1番・・」 アルが話している最中にエドは何を思ったのか穴に手を伸ばした。
ズルッ・・・
「兄さんっ!!!!」
アルが手を伸ばしたが間に合わず、足を滑らせ落ちていく兄を掴む事が出来なかった。
「・・・くそっ アルッ!!すぐ戻るから先に宿で待ってろ!!!」
もう見えない兄の声だけが穴の中からアルに届いた。
「兄さぁぁぁぁんっっっっ!!」
アルは暫く穴を見つめていたが、兄の言葉を信じ宿へ向かう。
しかし、一向に戻らない兄を心配し穴を探しに戻ると・・・
そこにあるはずの穴は、
忽然と消えていた
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