タイトル『偶然?運命?神の悪戯?・・・私は貴方を信じてる 第13話』

















「やあ、ちゃん。よく来たね。」



馴染みの顔を見ると、社長の顔は和らいだ。



「ご無沙汰してます。」



は、ペコリと挨拶をする。



エドも次いで、会釈をした。



「さあ、こっちだよ。」















二人が案内された部屋に、一人の男性が立っていた。



洒落しゃれた格好に身を包み、品良く笑う。



最初は緊張していた二人だが、その穏やかな笑顔に緊張の糸は解かれていった。



「さて、まずは何から話そうか・・・」



席に着くと、男性は苦笑雑じりに話しだす。



自分が偶々取材していた事に関して、深く人に話すの初めてなのだろう。



してや、その出来事の当事者になど・・・















男性は、穏やかに全てを聞かせてくれた。



こちらで、「神隠し」と呼ばれる 言い伝えのこと



定期的に時空の乱れは生じていたこと



こちらで行方不明になっている少年のこと



全てを聞き終えると、エドは愕然がくぜんとなった。



「そんな・・・ことが・・・」



エドの様子に、男性はさらに確認するようにこう言った。



「君は、向こうから来たと言ったね。・・・実は、行方不明になった子の写真があるんだよ。」



男性は、一枚の写真を取り出した。



それが、追い討ちを掛けるように 二人に衝撃を与える。






「え、この人・・・」






は絶句し、エドは途方に暮れた。






「・・・オレと、そっくりだ・・・」






写真には、一人の少年が写っていた。



・・・エドと、うり二つの少年が。



「私も、君を見たとき驚いたよ。この子なんじゃないかと・・・君たちは、引かれ合ってしまったんだろうね。」










「・・・引かれ、あう。」



男性の一言を、エドは繰り返すように呟いた。








「んなことが・・・あってたまるかよ。」








エドは自分の拳を握り締めた。



悔しそうに・・・



その姿を、はただ見つめることしか出来なかった。


































「次に穴が開くのは、二ヶ月後だ。・・・それを逃すと、元の世界に戻れないかもしれない。」



暫くの沈黙の後、男性は静かにエドに諭した。



その言葉に、エドは立ち上がる。



「・・・わかりました、有り難う御座います。」



エドは深く頭を下げた。



急いでも、同じように頭を下げる。



「そんな事をしなくていいよ。・・・ちゃんと戻れるといいね。」



男性は優しく微笑みかけた。



「・・・はい。」



外は、闇に包まれ始める。













































二人は部屋を後にしようと仕度を整えていた。



廊下に出るまで、男性は優しく微笑んでいた。



「有り難う御座いました。」



は、もう一度頭を下げる。



しかし、バランスを崩し 少しふらついた。



「・・・っと、大丈夫か?」



慌ててエドが支えに入る。



「うん、大丈夫。・・・有り難う。」



急のエドの行動に、 は少しだけ頬を染める。



この些細ささいな様子を見て、男性の当初からの疑問は 確信へと変化した。





























この二人が、惹かれ合ってしまっている ということ・・・





























「では、失礼します。」



「あぁ、成功を祈っているよ。」



パタリと扉が閉まり、冷ややかな空気が部屋を流れる。



男性は、静かに両手を組んだ。












































神よ、あなたは なんと人の運命をもてあそぶ・・・




せめてもの庇護ひご、ご加護を彼らにお与え下さい




若過ぎる彼らに、あまりに残酷な結末だけは・・・




決して、決して与えることの無いように―――――

























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