タイトル『偶然?運命?神の悪戯?・・・私は貴方を信じてる 第15話』

















「とうとう、この日が来たな。」



ロイはカレンダーを眺め、呟いた。



「そうですね。・・・準備は整っています。」



執務机の脇に控えるリザは、重そうな書類を目にしながらそう言った。






今日は、再び扉が開くだろうと思われる日。



エドがいなくなった付近に少年が立ち、再び共鳴する事が出来るだろうと考えられていた。




コンコンッ




ノックの音に ロイが入るよう促すと、扉を開き アルの姿が見えた。



「おはようございます。」



「お早う、アルフォンス君。」



礼儀正しい挨拶に、部屋にいた二人は微笑んだ。




「とうとう今日だな。早く、鋼のが戻ってくるといい。」



ロイの言葉に、アルは目を輝かせて頷いた。
















































「とうとう、今日だね。」



「・・・あぁ。」



朝から、二人の間にはこの会話しか繰り返されていなかった。





懸命に元気に振舞うと、少し浮かない表情のエド。



は、そんな様子のエドに苦笑して言った。




「なんて顔してんの!? 折角、帰れるかもしれないのにっ!」



その声に少し顔を上げたエドだったが、の顔を見ると またすぐに下を向く。






「ほら、早く準備・・・」



「・・・お前、大丈夫か?」



は、突然の言葉に驚きエドを見た。



「・・・・・どうして?」



その問いに、エドは下を向いたまま答える。



「オレが戻ったら、また・・・一人になっちまうだろ・・・?」






「・・・一人、か。そうね、、また一人になっちゃう。」



苦笑しながらも、はきちんと答える。



「でもね、大丈夫だよ? 一人なんて、慣れてるから・・・」



エドはその表情に、切なさを覚えた。






ひとがりの微笑みが儚くて、抱き締めたい衝動を起こさせる。






「・・・っ、わりぃ!!」



そう言ったのとほぼ同時、エドはを抱き締めた。

















強く、強く・・・壊れるほどにいだく。



それに応えるように、の瞳にはうっすらと浮かぶ涙があった。





「・・・どうして謝るの?」



エドから少し離れて、は微笑んで問いかける。






戸惑うエドが可愛くて・・・ふわりとエドを抱き締めた。
































「ちゃんと・・・抱き締めて・・・?」































エドは言葉を失った。











笑った笑顔が眩しくて、指先から確かめる




君の声、瞳、温もりを




髪の一本一本まで・・・オレの軌跡を刻み込む











「愛してる、ずっと・・・これからも。」



しなやかに伸びたの髪に、エドはそっとキスを落とした。



少し赤くなるも頷きながら、「私も。」と言葉を返す。





輝く栗色の髪は、エドにいつかの夢を思い出させた。



「なぁ、お前が時々歌ってた・・・あれって何だ?」




幾重いくえにも重なる、夢の中の歌に似たメロディー



不思議なくらい、安らぐ気持ち





「あれはね、お母さんが子守唄代わりに 歌ってくれた歌なの。」



懐かしそうに微笑むに、エドも自分の事を打ち明けた。



「オレの母さんも、歌ってくれてたんだ。・・・よく似てる。」




それを聞いたは、少し照れたようにこう言った。



「お母さんの代わり、なれたかしら?」







「・・・それ以上の存在だ。 また、歌ってくれるか・・・?」



そう微笑んだエドは、心の底から幸せそうだった。




しかし、その微笑みが微かに曇る。











「やっ、エド・・・消えちゃう!!」




せつに訴える表情かおで、はエドの腕を掴んだ。



決して・・・離すまいという表情かお





「大丈夫。時空ときがまた、逢わせてくれるから・・・」



優しく諭し、エドはその腕を解かせる。



「・・・エドッ!」




、お前だけを愛してる。・・・歌って、くれないか?」




その言葉に、は我を取り戻す。



微笑み、静かに頷いた。




「いつかまた、逢えるよね・・・?」







エドはもう一度、消えかける腕で・・・優しくを抱き締めた。



の唇から、小さく歌が零れ始める。



その唇にキスをして、エドの姿は跡形も無く・・・・・











キラキラ輝く、光が舞って・・・貴方の笑顔のようでした





これが永遠とわの別れでないと、私は貴方を信じてる

















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