タイトル『偶然?運命?神の悪戯?・・・私は貴方を信じてる 第4話』



















気がつくと、俺はあの草原に立っていた。



懐かしい・・・



ここは、小さい頃によく遊んだ草原だ。アルと駆回ったり、母さんと野いちごを摘みに来た記憶がある。



・・・そうか、これは夢なんだ



その時だけは理解していた。














微かに歌声が聞こえる。懐かしくて、暖かい・・・



母がいつも歌ってくれた子守唄。



振り返ると、そう遠くない場所に母らしき人が座っていた。
















「・・・っ、母さん!?」
















エドは思わず走り出す、風がたなびく草原の中を。






いつの間にか、体は小さくなっていた。記憶がそうさせたのだろう。



夢は、睡眠時の幻覚に過ぎない。まして、非現実的なのだ・・・








しかしエドは、自分が夢の中にいる事など忘れ、無我夢中で走り出した。



近づくと、はっきりと聞こえる歌声。それは心地よくエドの耳へ届く。



久しぶりに見た「本当」の母の姿。エドはそれだけで嬉しかった。



「・・・母さん・・・」



消え入りそうな声で呟く。






すると、今まで歌っていた声がピタリと止んだ。



母さんと呼ばれた人物が振り返る。
































エドに向けられたのは、母の切ない笑顔・・・
































一瞬だけ向けられた笑顔は、どんどん遠ざかっていく。



「・・・っ。母さん!母さん!!」



母を追ってエドは走り出した。



「待って、待ってくれ!・・・オレ・・・オレ、母さんに謝らなくちゃいけない事があるんだっ!!!」



追いつく事ができない。母はエドとの距離を離していく。



ふいに足元をすくわれ、エドは転んでしまった・・・
































意識が戻ると、そこは草原ではなかった。



変わりに天井・蛍光灯。それと、先ほど出会った少女の顔がエドの視界に映る。



「大丈夫ですか?・・・すごくうなされていて、心配で。」



はエドの涙をハンカチでぬぐっていた。






「・・・オレ、寝ちまったのか?」



涙が納まったところでエドはに尋ねた。







「えぇ、シチューが出来上がって運んできた頃にはもう。疲れてたんですよ、きっと。」




「すまねぇな。・・・飯食ったんだろ?オレに構わないで寝ててよかったのに。」



すると、は首を横に振った。



「まだですよ?せっかく作ったんだから、一緒に食べようと思って。今、温め直してきますね。」



は立ち上がり、テーブルのシチューを持ってキッチンへ向かう。



しかし、その途中で振り返って言った。
















「・・・何があったかは聞けないけど、無理のしすぎはよくないですよ?」
















エドは突然の言葉に驚きを隠せなかった。



「おっ、おう。・・・サンキューな。」



その言葉を聞くと、笑顔を見せて向きを変え、はキッチンへ入っていった。














「ずっと待っててくれたのか・・・」



エドは小さな声で呟いた。



初めて訪れた場所ですぐに寝てしまう事など今まで無く、自分で自分に驚く。










「せいぜい、1,2時間だよな・・・ここにいるの。」










初めて見たときから、に対する不思議な安心感があった。










それは言葉で表現するには難しい事だけれど、確かにエドの心の中に存在していた。










そんな事を考えていると、の声がリビングに響く。






「温めなおしてきましたよ〜!美味しいかは分からないけど、お腹空いてるだろうから食べちゃって下さいねっ」






の笑顔につられて、エドも笑顔になった。



「サンキューな」



小声で小さく囁いた。当然、には聞こえないように・・・











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