タイトル『ハッピーバースデー』
















辺りは、一面の春色に包まれて



そよぐ風は、心地よくがれていく



この桜並木を、貴方と見ることが出来たなら



これ以上の幸せは無いと思う


























あぁ、こんな日に想うのは・・・愛しい貴方のことばかり―――





















































季節は過ぎて、今は春


窓から桜の花弁はなびらが迷い込んで来るような、春


は、自分の部屋で本を読んでいた。


しかし 窓からそよぐ春風に、眠気を誘われふと視線を上げる。


「・・・あれ・・・?」


視線の先に何かを見つけたようだ。




「こんな箱、この部屋にあったっけ?」


見ると、そこには さほど大きくない箱があった。


白い箱に、かけられたピンク色のリボン。


箱を引き立てるデザインが可愛らしい。


くるっと一回り、箱を回して見ると何か文字が書かれているのを見つけた。


「『 誕生日まで開けないこと! 』・・・?」





そういえば、今日は誕生日だっけ・・・


はカレンダーを見つめた。


娘の誕生日さえも家に帰って来られない両親なので、当の本人も忘れていた。


今年は、プレゼントも未到着。






その文字を暫く見つめ、その筆跡の正体を巡らせる。


「・・・もしかして・・・!」


思い出したと同時に、あの時が甦る。


それは、代わらぬ時が流れていたあの日・・・・・
















































































「・・・オルゴールの本か? 変わった本だなー。」


エドはが読んでいる本を、横から見て感心した。


の父親の書斎は、様々な種類の本の山。


エドもここが気に入って、何かと二人はこの部屋で過ごすことが多くなっていた。


「うん、オルゴール好きなんだ。ほら、これ綺麗じゃない??」


エドの言葉に、は声を弾ませて答えた。


両手に重そうな本をたずさえ、そのオルゴールの写真を見せる。




アンティーク調に彫られた模様


美術館などにありそうな、洒落たデザイン


ちりばめられたストーンが、その本体に光を閉じ込め輝いている




「・・・綺麗だな・・・」


エドは、感嘆の息を漏らす。


写真でしかないのに、本物を見ているようだ。


「こんなの、売ってたら買っちゃうのにな。」


はボソリと呟いた。


本当に心の底から、この言葉を発したよう。





そういえばあの日から、エドは何かを隠していたみたいで・・・


それが 今日になるまで分からなかったなんて、自分でもどうかしてると思う。


























「エドーーー?」


大声で下から叫んだ。


最近、エドが一人でいる事が多くなったのだ。


あえて理由は聞かなかったが、食事の時は困ったもの。


「ご飯出来たよー! 早く降りてきてーー。」


おー と二階から声がした。


この声を聞くたび、の不安は取り除かれる。


『 まだ、いてくれるんだ。 』




一度だけ、何をしているのか聞いた事があった。


しかし、何も話してはくれない。


「どう聞いても、話さないからな?・・・誕生日まで待ってろ。」


は、その言葉を信じて待ち続けていた。


結局、誕生日を一緒に迎える事のないまま、離れ離れになってしまったが。





















































は息を呑んだ。


そして、恐る恐る箱に手を伸ばす。


























♪〜


























「・・・エドッ!!」


の瞳からは、止まること無く涙が伝った。


箱を開けると共に、鳴り出したメロディー。


二人の、想い出の曲。


別れ間際の、あの旋律が部屋中に溢れだす。


オルゴールの全貌を見ることが出来ないほど、の瞳はすぐに涙で覆われた。





悲しくないのは、確かなの


だって、貴方と約束したもの


『 いつか、また逢おう 』って・・・


だからね、これは悲しい涙じゃなくて


『 貴方をいつくしむ、愛のカタチ 』





漸く、オルゴールの全貌を目にした。


それは、あの日 目にした写真のようで・・・


ううん、それよりも遥かに美しかった。


























『 貴方がくれた、愛のカタチ 』


























ふと、底に彫られた文字を見つける。


それを読もうと、オルゴールを近寄せた。


























『 聞こえるか? オレの、声が・・・・・ 』



『 ・・・・・・ 』





















































― Happy Birthday ―


























― I am in a you side forever. ―





















































エドの声・・・聴こえた気がする


幻だったのかもしれない


でも、確かに聴こえたの―――





























Fin











あとがき。

久々の更新ですいません;;
言い訳はしません>< 私の努力不足です・・・

キリリク、有難う御座いました!
番外編といえるかわかりませんが、いかがだったでしょう?
離れていても、心は一つというコンセプトで書いてみました。
時間があったら、エドSideの話も書いてみたいなーなんて(^^ゞ
ちなみに、最後の英文は、
「オレは、永遠にお前の側にいる。」です。

そういえば、日記更新しました。
鋼ファンとしては大ニュース(かもしれない)ので、宜しかったら覗いてみて下さい。

では、月夜さん、リク有難う御座いました!
読んで下さった方々、有難う御座いました!
宜しかったら、リクなどお待ちしております(^^)




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