タイトル『左手に、あなたからの贈り物 後編』
















エドが店に来なくなって数日後。つまり、今日は彼らがここを発つ日。



は、店の中で決意をした。



「やっぱり・・・!」



何時の列車でここを発つか、聞いていない



もしかしたら もう出発してしまったかもしれない



「それでも・・・構わない。」



彼らがまだここにいると信じ、は支度を始めた。



貴方がいてくれて、嬉しかった事  姿が見えなかった数日間、寂しかった事・・・



自分の気持ちを、素直に伝えたい






その時だ。



カランッ



店の鐘が、来客を告げた。



「あ、すいません。今日は 臨時休業に・・・」



客がいる方を見たは、自分の目を疑った。



「・・・エ、ド・・・」



そこには、今日この街を発つと言った張本人がいた。



「どうして・・・今日が出発の日なんでしょう? 乗り遅れちゃうじゃない。」



は、驚きを隠しきれなかった。心の準備も出来ていないのだ。



「・・・『 言いたい事と、聞きたい事があったから 』 かな。」



エドは 苦笑しながら、あの日のように立っていた。



そして、の方へ歩き出す。





ここで逃げたらダメ 素直になるのよ





そう、は自分に言い聞かせた。



「何が・・・聞きたかったの?」





違う、自分の気持ちを伝えなければ・・・





焦れば焦るほど、自分に正直になれない自分がいる。



「・・・なぁ。俺が初めてお前と会ったの、いつだかわかるか?」



エドは の質問を気にする様子など無く、口を開いた。



は、どうしてこんな事を聞くのだろう と不思議に思う。



「え・・・。あの日でしょう? エドがこの店の扉を開けてくれた・・・」



しかし、次のエドの言葉で全てを知る事になる。



「違う・・・その二日前。この街に来て、図書館に寄ろうとした朝だ。 俺は、店の前で花に水をやる お前に・・・一目惚れした。」



エドは、まっすぐを見つめた。この前と変わらない、嘘の無い正直な・・・



そして、自嘲気味に笑いながら付け足した。



「知らなかったろ? あの日から、ずっと好きだった事も。二人きりになりたくて、人がいなくなる閉店直前に来ていた事も・・・」



「・・・っ」



は、その場に泣き崩れた。



「俺は、好きな気持ちに 年なんて関係無いと思う。お互いが想い合っていれば・・・」



知らなかった そんなに想ってくれていたなんて・・・



「・・・、泣くなよ。しつこいのは嫌いだよな? もう、行くからさ。」



そう言って、エドは くるりと向きを変えた。



このままでは、本当に伝えられない・・・ 一生、会えないかもしれない



は立ち上がり、歩き出すエドを後ろから抱き締めた。



「お、おい!・・・っ、??!!」



エドは顔を真っ赤にしているのだろう、声が上擦っている。



は、呼吸を整えてから話し始めた。・・・自分の、正直な気持ちを



「ゴメンなさい。嫌いだなんて、嘘・・・。怖かったの、私が年上だから エドが嫌な思いをするんじゃないかって。・・・私も、エドの事が好き・・大好き。」



「・・・やっと言ったな!」



エドは の手を解き、向き合った。子供に戻った、無邪気な笑顔がエドを包んでいた。



「え・・・?」



「だってさ、泣きながら『 ゴメンなさい 』なんて、ふつー 言わねぇだろ?? 年を気にしてるんだろうなって思ってたんだ。」



エドの言葉に、は真っ赤なり ぱくぱくと口を開けた。



「か、確信犯だったのね!!?? ヒドいじゃない、本当に行っちゃうと思ったのよ!」



わりぃ、わりぃ とエドは いたずらの見つかった子供のような笑顔を見せた。



『 私がその笑顔に弱いの、知ってるくせに・・・ 』



は そう思いながらも、エドに抱き締められていた。



「っと・・・。これ以外にも、用があったんだよ。」



エドは コートのポケットに手を入れ、何かを探す。



「あった。・・・これ、受け取ってくれるか・・・?」



エドは 小さな箱を取り出し、に見せた。



「・・・これ・・・」



は また泣きそうになってしまう。



「あぁ。俺 元の身体になって、絶対 お前を迎えに来る。・・・だから、『 結婚の約束 』して欲しいんだ・・・」



エドは、照れくさそうに 箱を開けた。シルバーのリングが、箱の中で輝いている。



「・・・はい」



頬に伝う涙を気にせずに、は返事を返した。



「俺、次に会う時は お前より大きくなってやるからな! もっと、いい男になって迎えに来るから。」



そう言って、の手に指輪をはめた。





左手の 薬指に





「もう、充分いい男だよ。 ありがとう、エド・・・」



エドは、の涙を拭った。そして、そっと頬に触れる。



は 静かに瞳を閉じた。



微かに近付く、エドの香りを感じて・・・












「じゃあな・・・絶対 迎えに来るから、待ってろよ?」



「うん。」



二人は 微笑み合った。そして、繋いでいた手を解く。



ふと 思いだしたように、エドは口を開いた。



「それ・・・ま、毎日してろよ! 俺がいない間に、どんだけ男が近付いてくるか 分かんねぇだからな!!」



は微笑した。やっぱり、私はこの人以外好きになれない そう痛感する。



「・・・大丈夫。私、エド以外 好きになれそうに無いわ。」



の言葉に、エドは顔は赤くなった。そして、ぶっきらぼうに 返事を返す。



「・・・そーかよ。」



ふいに、の手がエドに伸びた。



はエドの頬に口付ける。



「・・・!?・・・」



頬を抑え驚くエドに、は少し赤くなって忠告をした。



「エドこそ、浮気したら許さないからね!? 」



「な・・・するわけねーだろ!? 俺は、しか 見えねぇんだって言ったろ!」





ふっと 二人は笑いあう。そして、もう一度キスをした。



「元気でな。」



「うん。エドこそ、体に気を付けてね? 弟さんにも、迷惑掛けてばかりじゃダメよ。」



「わかってるって!」











遠くから手を振るエドを、は店の前でいつまでも見送った。



いつもと変わらない 別れのように



一つだけ違うこと  それは・・・




私の左手で輝く、あなたからの贈り物















後書き。


甘甘になっていたでしょうか・・・!?

この数年後、エドはさんの背を追い越して迎えに来る事を希望デス(^-^ゞ

結婚 にはならなかったのですが、婚約=結婚 という考えでお願い致します(滝汗)

時間が掛かるかと不安だったのですが、何を書くか という骨格が出来ると早いものです。

ポンポン書けて良かったです。

杉原さん、リク有難う御座いましたv とても、楽しかったです(^^)

宜しかったらまたリクしてやって下さい!

では、ここまで読んで下さった皆様 有難う御座いました!

気が向いたら、リクもしてやって下さい。お待ちしてますv




Created by DreamEditor