タイトル『左手に、あなたからの贈り物 前編』
















カラン カランッ



客の来店を知らせる鐘が、の耳に届いた。



「いらっしゃいませ・・・!」



商品の整頓をしていた は、扉の方に視線を向ける。



そして 訪問客を見た途端に、え・・・ と声を上げた。



そこには アンティークものを扱うこの店には珍しい客層、10代半ば程の少年が立っていたからだ。



しかし 貴重な世代の少年を、は暖かく迎え入れた。



「いらっしゃいませ。何かお探しですか? プレゼント用でしたら ラッピングも致しますので、声を掛けて下さいね。」



少年は の笑顔に頬を赤らませ、「あぁ。」と ぶっきらぼうに返事を返すと店の中を歩き出した。



ここは、町のほぼ中心部にある雑貨屋。隣には大きな図書館があり、沢山の人が訪れる。



この少年も、図書館からの帰りなのだろう。閉店間際に、この店を訪れてくれた。







暫くすると、少年はある物の前で足を止めた。



一見 普通のブローチだが、小さな宝石や細かい細工も施されていて が気に入っている商品の一つ。



はそれを見つけると、少し嬉しそうに話掛けた。



「綺麗でしょう? 扱ってる商品の中で、私は1番気に入っているんです。 いつか売れちゃうと思うと寂しいんですけどね。」



この言葉を聞くと、少年はの方を向き



「これ、俺が買うよ!」



こう言った。



「そうですか・・・」



が少し残念そうに言葉を返すと、少年はに近付き 首を横に振った。



「誰かに買われるなら、俺が買う。俺は暫くここにいるから・・・だから・・・」



「『 だから・・・ 』?」



は首を傾げながら、少年の続きを待つ。



「ま、毎日来るよ!知らない奴なんかに買われて、これを見られなくなるよりはマシだろ!!」



顔を真っ赤にさせて、少年は一気に言葉を吐き出した。



は唖然とした顔で、しかしこの少年を可愛く思い 微笑んで返事をした。



「お買い上げ、ありがとうございます・・・」







これが 私、 と 彼、エドワード・エルリックの出会いだった。

















ッ! 来たぜ!!」



あの日から、エドは毎日 店を訪れる事が日課になっていた。



「エド、いらっしゃいませ。何か手掛かりはあった?」



はいつも笑顔でエドを迎える。



「それがよ〜・・・」



エドはいつものように 今日あった事などを、に話始めた。



大体の時間は客が居るこの店でも、閉店間際になればいなくなる。



邪魔にならない様にという配慮からなのか、エドは決まって閉店間際の店に顔を出していた。







エドが来てくれるようになって、毎日が楽しくなったな・・・



は、エドの話を聞きながら ぼんやりとそんな事を思う。



今までの毎日も、決してつまらなくは無かった。



好きな仕事も出来ているし、売り上げだって悪くは無い。



しかし、何かが欠けていて・・・ その何かをエドが補ってくれたような気がしてならなかった。



「・・なぁ・・? 聞いてんのか??」



どうやら、エドの話が耳に入っていなかったらしい。



エドの顔は なぜか少し赤い。



「あ、ごめんなさい・・・何かしら?」



エドは 微かに溜息をついたが、すぐにの顔をまっすぐ見つめた。



あまり見た事の無い表情に、の鼓動は思わず早くなる。



しかし エドはから少し視線を外し、こう言った。



「お前・・にはさ、恋人・・・いるのか?」



言葉を重ねるごとに 段々と下を向くエドに、は しゃがんで視線を合わせる。



驚いて後ずさむエド。しかし、の微笑みを見て立ち止まった。



あぁ、どうしてこの少年は こんなにも可愛らしい表情を見せてくれるのだろう・・・



も一緒に頬を赤らめて、質問の答えを返す。



「いないわよ。」



その返事を聞いた途端、エドは ぱあっ と表情を明るくさせ 笑顔になった。



「・・・また明日も来るな!!」



そして、元気良く店を飛び出す。



「気を付けてね。」



はそんなエドの姿を、見えなくなるまで見送った。



そこで、ふと我に返る。





私、エドの事 好きなのかしら・・・





そう考えただけで 顔が赤くなるのが、自分でもわかった。



「好き・・・なのね。」





満たされていたはずの毎日



しかし、彼に出会った事で その毎日は嘘になった



誰かが側に居てくれる事の喜びを、私は彼に教えて貰ったのだ



無邪気な笑顔も、笑う声も 時折見せる悲しげな顔も・・・



全部が いつの間にか私の心に入り込んできた





「でも・・・」



は呟いた。



彼は、自分よりも年が下なのだ。



世間体から見ても、つりあわないかもしれない・・・



エドに辛い思いをさせたくは無い。




・・・それならば、自分の想いを封じ込めよう




は 暗くなる空の下、夕日を見つめてそれを誓った。














後書き。

お、お待たせいたしました><

リクエスト頂きました小説の前編になります・・・!

『結婚』というキーワードを頂いたのですが、ならないかもしれないです(:_;)

なるべく、近づけるように頑張ります・・・!!

「思い付いた途端に書いた」感じなので、文章纏まって無くて申し訳ないです(泣

タイトルも、もしかしたら変わるかもしれません(^_^;)

では、次の更新がいつになるか未定なのですが(汗)、お付き合い頂けると嬉しいです!




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