タイトル『カタルシス 〜精神の浄化〜 第1話』






















人を愛そうなんて 心の隅にも思ってなかった



あの日から 一切の感情は棄てたのだから



愛する資格も、愛される資格もない



私は・・・人間ではないのだから―――



















初めは ほんの出来心だ



今まで本気で愛した女性など いないから



彼女もまた、いつものように 自分のモノにしたかったのだ





いや・・・本当は違ったのかも知れない



人のカタチをしているのに、人ではないような彼女に



惹かれた自分がいたのかもしれない―――





















運命をだと信じるか 偶然だとののしるか



信じなくても構わない 罵られても構わない















あの日 確かに、私たちは出逢ったのだから・・・






































「まったく。こうして私が直々に赴いているのだから、早く出てきて欲しいものだ・・・」



ロイは 軽くため息をついた。



「相手は 合成獣だからな・・・外的な特徴があるだろう。」



街中を歩きながら、あちらこちらへ視線を移す。



「それにしても、なぜ 私が赴かなければならんのだ!私服になるには、非番か休暇を使うしか・・・」



ここまで呟くと、ロイはがっくりと頭を垂れた。



上官の命令に、いちいち愚痴ってばかりでは何の解決にもならないと判断したのだろう。



『 さっさと、その合成獣を生け捕りにしてしまおう。 』



そう考えると、ロイは 一度止めた足と眼を再び働かせ始めた。















『 こう・・・人が多いと邪魔だな。 』



は辺りを見回す。



夕方とはいえ、今日は休日。



遅くまで出掛けてた家族や恋人などで、街はいつまで経っても賑やかだ。



『 もう用は無いんだ。さっさと帰ろう・・・ 』



買出しを終えたは、自分の存在を消すかのように ひっそりとその場を立ち去った。





















「一歩路地を入っただけなのに、こんなに暗いんだな。」



ロイは人通りが多いのを避け、遠くから見渡すことにした。



大通りから少し道を反れると、そこは仄暗い灯りのみが照らし出す世界。



恐怖にも似た感覚を覚えながら、ロイは一歩ずつ歩き始める。











その時だ。



「・・・っ!?」



ふと、足元に何かが当たった。



恐る恐る下を見ると、真っ赤に熟れた林檎が一つ。



「なんだ・・・林檎か。」



ほっと息を付くとそれを拾い上げ、落とし主の姿を探す。



視線を上げると、数メートル先に歩く女性を発見した。



少し小走りで、その人物に近づき 呼び止める。



「お嬢さん、落としましたよ。」



声に気付いたその人物は、立ち止まるとゆっくり振り返った。















あとがき。


お待たせ致しました。キリリクの「ロイ連載夢」です!

シリアスを目指して昇進致しますので、お付き合い下さると嬉しいです^^

このお話は、「短い題名にしよう」と心掛けたつもりです(^_^;)

いつも、感想頂ける時に大変そうだと思ったので(滝汗)

というわけで、『 カタルシス 』とシンプルにvv

では、これからも宜しくお願い致します(*^^)v


カタルシス [ギ katharsis(浄化)]

[1] 精神の浄化.アリストテレスが「詩学」に用いた語.
  悲劇のもたらす恐怖と哀憐の情によって,人間の心中にうっ積した感情が解放・浄化されること.〈明〉

[2] 抑圧心理の解放.
   自己の苦悩を積極的に語ることで,心のわだかまりを解消すること.〈大〉


(インフォシークより)




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