タイトル『カタルシス 〜精神の浄化〜 第8話』
「・・・っ、準備は出来たかい?」
息を切らせながらロイは言った。
「・・・・・」
出来るだけ軽くした荷物をテーブルの上に置き、は黙ったまま。
「・・・どうした・・・?」
視界に、あの優しい微笑みが映る。
「本当にいいのか? 私なんかのために、追われる身になるんだ・・・」
切羽詰ったの表情に、ロイは少し驚いた。
「・・・同情だけなら、このまま私を
中央へ連れて行け・・・」
ここまで彼女を突き動かすのは、自分への思いやりか
それとも・・・罪の意識か
『 何を言う・・・こんな気持ちになったのは初めてなんだ。 』
『 この気持ちを、なんと言えば君に伝わる・・・! 』
ロイは静かに口を開いた。
「この気持ちを恋というのなら、私は初めて恋をしたのだろうね・・・」
窓辺に見える、月を背に。
「今は恋を超えて、君を愛している。・・・、君を守りたい・・・」
月を
享けたロイの表情は、いつになく眩しくて・・・
見つめられた瞳は逸らせない
『 ・・・今なら、素直に言えそうだ・・・ 』
は、ポツリポツリと言葉を発した。
自分の想いを、溢れすぎる貴方への想い・・・
『 風で消されてしまう前に・・・近くにいるなら、もう少しだけ側で聴いて欲しい 』
私は、今まで軍のために生きてきた・・・
召集が掛かれば 何の疑いも無く戦地に
赴き、何の
躊躇いも無く敵を殺した
・・・これが私の役目だと思っていたから
しかし、致命傷を負った時 奴等は私達を実験台に使った
気が付くと・・・それぞれが違った生物と合成されていた・・・
そこで、やっと気付かされた
”私は何のためにここにいるのだ”と
戦地で死ねるのなら
本望だ
だが、得体の知れない生物を取り込まされた・・・
あそこで、死のうと考えた事があった
しかし、折角残された命だとも思った
ここまで話すと、はもう一度ロイを見つめた。
「この命は・・・あんたのために使いたい、ロイのために。」
言い切った顔に、迷いなど
微塵も無い。
満足そうに微笑むを、ロイは夢中で抱き締めた。
整えられた服を、乱れさせる程・・・・・
「何を言っている・・・自分の命だ、自分のために使いなさい。」
頑なな忠誠心を持つ、一途なが・・・
途轍もなく 愛おしくて仕方が無い
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