タイトル『今宵の貴方、夢で無く・・・』
















「今年もきっと、逢えないだろうな・・・」



かたわらに暖炉をたずさえ、はコーヒーを口にする。










「苦・・・・・」



眠らないために淹れたそれは、甘味など微塵みじんも無い。



いつも口にしないものを含みながら、来るはずの無いあの人を待つ。










外は一面、白雪しらゆきの銀世界。



今宵こよいだけは、今日だけは・・・恋人たちが巡り会う日―――































短針と長針が もうすぐ重なろうとしていた。



うつらうつらとする頭を、何とかして立て直す。



カフェインの効果もむなしく、は睡魔と闘う羽目になった。



空になったカップを置いて、今度は毛糸を取り出した。



もう少しで出来上がる、あの人への贈り物。



ふわふわとした感触が暖かい。



赤いコートによく映えるよう、自分なりに考えた色で編んでいる。









毎年何かを作っては、引き出しの奥に終いこむ。



届けることは出来ないのだから・・・・・



いつの日か、あの人が帰ってきたら渡すのだ。



もう何種類もの贈り物。



「一度に渡したら、びっくりしちゃうかな・・・」



は静かに微笑した。



しかし、編みかけのマフラーを見つめる視界が 微かに滲む。













「・・・っ。逢いたいよ、エド・・・」













旅先からは、毎年プレゼントが贈られていた。



そのひとつひとつは、大切な宝物。



しかし、どんな贈り物よりも






逢いたい



抱き締めて欲しい



好きだと囁いて欲しい



温もりを・・・感じたい






我儘なのはわかってる。



どうしようもない望みなのは、もう とうに承知済み。



しかし、寒さが増すと 叶うはずの無い願いは昏々こんこんと溢れだす。



まるで、地下から湧き出る水源のように・・・



胸に輝くペンダントを、力いっぱい抱き締めた。



これは 去年のクリスマス、あの人からの贈り物。



今年はまだ、何も・・・便りでさえも届いていない





























コンコン、コンコン



扉をノックする音が響いた。



何回かのノックの後、はハッと目を覚ます。



「・・・やだ、私寝ちゃって・・・!」







コンコンッ



また扉は叩かれた。



視線は扉、ただ一点にに釘付けになる。















『 まさか、まさか・・・ 』



は一直線に駆けだした。



どうか、どうか 扉の向こうには・・・あの人の姿がありますように



迷うこと無く扉を開ける。



扉の向こうには――― 笑顔のあの人が立っていた。



「・・・よかった、まだ起きてたか。」



突然の訪問に、は言葉を失った。



そして 久しぶりの再会に、零れてくるのは涙だけ。



「おいおい・・・せっかく来たのに泣くなよ。」



エドワードは苦笑した。



久しぶりに眼にする恋人の姿。



数年前より伸びた髪は、相変わらず美しい。



『 逢いたかった・・・ 』



を抱き寄せると、エドワードは静かに囁いた。
































「・・・落ち着いたか・・・?」



暫くすると、頭の上で声がした。



はコクリと頷き、上を向く。



「・・・うん、有り難う。」



見上げた瞳には、変わる事無い優しさがあった。



の返事に、エドワードは満足そうに頷いた。



ふと、はこんな疑問を口にした。



「今年は・・・どうしたの・・・?」



その質問に、エドワードは視線を逸らし赤くなる。







暫くの沈黙の後、バツが悪そうにこう言った。



「あ、逢いたかったから・・・だよ!!」



そういった顔は、今にも湯気が出そうに赤かった。



こんな寒さなど、忘れることが出来そうなほど







「お前は・・・逢いたくなかったか・・・」



先ほどより自信が無さそうに、エドワードはに尋ねる。



は視線を合わせ、しっかり言った。



「逢いたくないわけ無いでしょ!? ずっとずっと・・・逢いたかった!!」



互いに見つめ合い、微笑む二人。







――― そして静かに、口付けを交わす。




























今年届けられた贈り物、それは



愛しい貴方の存在と、あなたと揃いの 片割かたわれピアス



私からは 編み掛けマフラー・・・・・溢れんばかりのこの愛を



































外は白雪――― 深々と降り積もる、今宵は一面 銀世界・・・


































あとがき。

サイト開設後、初めてのクリスマスと言うことでv

(きっと)クリスマスネタで御座います^^

い、いかがだったでしょう・・・(滝汗)

フリーにしようと思ったのですが、色々と考えて今回はフリーにはしませんでした。

でも、こんな駄文でも欲しいと思って下さる方がいらっしゃいましたら、お知らせ下さい><

喜んでお返事させて頂きます・・・!

では、読んで下さって有り難う御座いましたv


あくあポリスからさんへ

一足先に、メリークリスマス^^

今年も、素敵なクリスマスが訪れますように・・・


2005/12/17  <あくあポリス> 唯





Created by DreamEditor