タイトル『お前が好きだと、今更気付いた 第2話』
「いってらっしゃい、」
アルとウィンリィは笑顔で言う。
「うん、いってきます!」
汽車の蒸気の音がする。
ここで唯一の駅は、いつものように人は
疎らだ。
「・・・ちゃんと、ちゃんと帰って来いよ。」
エドは浮かない顔で、から視線を逸らせて言った。
「だいじょうぶ、だいじょうぶ。私は、エドをおいてどこにも行かないもんっ!」
「・・・ばっ、何言って!!」
の返しに、真っ赤になるエド。
その様子を、アルとウィンリィは可笑しそうに笑う。
汽笛が鳴った。
列車の窓から顔を出す。
これから出会うであろう新しい世界に、胸を躍らせながら手を振った。
「いってきまーす!!」
『 オレはこの時も気付かなかった。・・・あいつの身に降りかかる、あの悪夢の出来事を・・・ 』
を見送った三人は、家に帰ってのんびりしていた。
ウィンリィに限っては、エドの機械鎧の修理だが。
今日の仕事場には、珍しくラジオがついている。
ガシャーンッ
どの工具を取ろうとした時だろう。
誤って、ウィンリィは工具の箱をひっくり返してしまった。
「あちゃー」
この音を聞き付けて、エドとアルの二人もやって来た。
「エド、アル。なんだ、大丈夫だよ。」
苦笑気味で工具を掻き集めるウィンリィ。
呆れながらも手伝いだす二人。
ラジオの速報が、この
和やかな空気を打ち消した。
『 只今入りましたニュースです。・・・本日正午過ぎ、東部方面からの中央行き列車が横転しました!生存者の救出は絶望的と思われます!!繰り返します・・・ 』
エドはガクリと膝と付き、アルはその速報を聞き叫んだ。
「・・・な・・・んだっ・・・て・・・」
「そんなっ!その列車にはが乗ってるじゃないか!!」
工具を拾っていたウィンリィは、音を立て拾ったばかりの工具を落とす。
「あ、あたしが・・・止めておけば・・・」
「なんだい、騒々しいね。」
アルの叫び声を聞いたのか、ピナコが部屋に顔を出した。
「・・・ばっちゃん。が、が・・・」
嗚咽を堪えながら、懸命にニュースを伝えるウィンリィ。
一瞬青ざめた表情を浮かべたピナコだったが、3人を叱りつける。
「・・・何泣いてるんだい!は帰ってくると言ったんだ、生きているに決まっているだろう!!」
そして、呆然としているエドに向かってこう言った。
「エド!お前がを信じなくてどうするんだ!?あの子は、あんたを残して死なないと言ったじゃないか!!」
必死のピナコの言葉も、今のエドには届いていないようだ。
呆然としたままのエドは、焦点の合わない瞳をしている。
絶望に満ちている空間に、先ほどのニュースの続報が入った。
『 先ほどの列車事故の続報です!生存者、生存者が確認されたようです!!身元は判明していませんが、情報によると女性との事です!! 』
このニュースを聞いて、4人ははっとした。
「・・・お願い・・・」
ウィンリィは
跪くように、固く両手を組む。
エドは固く、瞳を閉じた。
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