タイトル『遅すぎた出会い 第14話』
















「ラナード・・・・・どうしてあなたがここに・・・・」




は無意識に一歩後ずさっていた。


その表情はみるみるうちに青ざめていった。


しかし対するラナードは至極嬉しそうに口を開く。






「お迎えにあがったのですよ。」




ラナードの言葉に の表情が一気に固まった。


するとその時・・・









「ママー、おじいちゃんもう帰るって〜」





が老人の手を引いてやってきた。





「おや、エド先生じゃなかったんじゃな。 さん、わしはもう失礼するよ」






「えっ、あっはい。気をつけてねおじいちゃん・・・」




のその言葉にニッコリと笑って、老人はラナードの隣を通って帰っていった。


そしてその老人と入れ替わるかのようにラナードが家の中へと入ってきた。


はサッと を庇うように抱きしめると部屋の置くに追いやるようにしてラナードを睨みつけた。







「帰って下さい。ここはあなたのような人がいるような場所じゃない。」



の言葉に、ラナードはニヤッと笑うと口を開く。






「それはそうですな。一国の王女と誘拐犯が暮らす家など、国王の側近である私のいる場所ではない。」




ラナードはそこまで言うといったん口を閉じた。


そして を、次に奥からこっちを見ている に目を移して口を開く。






「しかしそれはあなた方もです。 王女様。そしてそのご子女であると同時に、この国の跡継ぎであるお嬢様。」




はラナードの言葉に、背筋を何かが駆け上るような嫌悪感を感じた。


それが伝わったのか がギュッと に抱きつく。


ラナードはそんな二人の様子を見て、至極嬉しそうに口を開く。






「さぁ、戻りましょう。 王女様。・・・・・・そしてまた私のマリオネットになって下さい。」




そう言って笑ったラナードの厭らしい笑みが、愛でいっぱいだった幸せな家を暗い闇で包み込んだような気がした・・・















マリオネット・・・糸でつるして操る人形。


あなたはずっと私の操り人形だった。


あなたを失ってからというもの国を操るのに少々手間取るようになってしまいましたよ・・・




しかし、あなたはまた私の前にいる。


しかも国王が弱っている今!


この絶好の機会に、また私の人形が戻ってきた。


このまま国王が死ねば、国はあなたのもの。


それはつまり人形遣いである私のものになるということ。








さぁ、また人形劇を始めようじゃありませんか。



今度はもう逃げられないように鉄で作られた糸を絡ませてあげましょう。


最初のうちは抵抗しても、その鉄の糸が食い込む痛みにそのうち逃げる気も失うでしょう。








それに、今回は面白い玩具がいるではありませんか・・・













「さぁ、帰りましょう 様。もちろん断るなどしませんでしょうな?あなたの身は既に、あなたの意志だけで動かすことができますまい。」




ラナードの言葉が、今腕の中にいる のことをさしていることは容易に想像できた。


そしてそれと同時に心の奥から湧いてくる気持ちに歯を食いしばる。









「・・・・・・・・・・・・・・・・・なんて最低な人間なの・・・」






の侮蔑を多く含んだその言葉にもラナードは笑みを絶やさない。






「私にとっては最高な誉め言葉ですな。・・・・・しかし城についてからはあまりおっしゃらない方が身のためです。

 子供というものは不意の事故で命を落としやすいものですからな・・・」















老人が の家を出てから1時間する頃には、1台の車が村から静かに出て行った。



には車の行き先が地獄よりもっとひどい所のように感じられた。

















エド、あなたが切ってくれた糸がまた、私に絡みつこうとしている。



でも大丈夫。


心配しないで。





私はもうあの頃の私じゃないもの。



私にはもう守るものができた。



そのためだと思えば大丈夫。





きっと・・・・





地獄のような場所でも私は・・・・生きていける










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