タイトル『遅すぎた出会い 第4話』

















窮屈な籠の中での生活はもうイヤ



自分の意志さえも封じられる扱いなんて・・・






自由な外の世界に出てみたい




風を感じて、自分の思うままに生きてみたい・・・








こう願うことは、我が侭なのかしら?





















少年がそっと私に微笑んでくれた。



見間違いなんかじゃない。



優しく、光が灯った目だった・・・






気づいたら私は、未だ暗いホールをそっと抜け出していた。



誰にも気づかれないように、胸に詰まった思いを涙に変えて・・・



ただ風を感じたくて。



早く感じたくて。



私はあの少年と出会った茂みへと足を向けていた・・・
















茂みの中に腰を下ろして、 は暫らくの間泣いていた。



どうして泣いているんだろう?



そんな疑問が心の中に浮かんでくる。






わからない・・・わからないけど・・・・



もっと早くにあの少年に出会いたかったと思った。




例えば、この婚約が決まる前に・・・



例えば、汚い大人の世界を知る前に・・・





もしくは、私が姫でなければ・・・







そうすれば、私はこんなにも悲しい涙は流さなかっただろうか?













「そんな所にいると風邪ひくぜ?」



は急に後ろから聞こえてきた声にパッと振り向いた。



そこにはあの、フルートの少年が立っていた。







「あなた・・・」



はサッと涙を拭いて少年を見上げて口を開く。



だが言葉が続かない。



そう、私はこの人の名前も知らないんだ・・・



でもどうしてだろう?






この少年が私に向かって微笑んでくれるだけで、急に心の中に安心感が広がってきた。










「あぁ、そうか・・・オレはエドワード・エルリック。先ほどはどうも 姫」



そんな の様子を見て、少年・エドワードは急に跪いて口を開いた。



エドワードの表情は、どこか悪戯をしている子供のような笑顔だった。



はそんなエドワードの表情につられて、小さく微笑む。






「エドワードさんにはみっともない所ばっかり見られてるわね・・・」



の言葉に、エドワードはすぐに答える。






「みっともないだなんてとんでもない。

・・・・・ 姫、よければ俺の事はエドと。さん付けはどうも性に合わないらしい」




エドはそう言うと、ニッと笑った。



はそのエドの様子にクスリと笑う。






「じゃあ、エドもその 姫というのはやめて と呼んで下さらない?」



の言葉に、エドは困ったような顔をした。





「それは無理ですよ。オレはただの軍人です。姫を呼び捨てにだなんて・・・」



エドが言葉を発していると、 はその言葉を遮るように口を開いた。






「あと無理に敬語も使わないで。使い慣れてないのがバレバレよ?」



がそう言うと、エドは数秒してからバツの悪そうな顔で口を開く。







「・・・・これでも最初よりかはマシになってきたんだけどな・・・

どうも敬語も性に会わねぇ〜みて〜だな」



エドのタメ息交じりのその言葉に、 な小さく笑い始める。



そんな の様子を見て、エドは安心したような顔をして微笑んだ。



だがすぐに自分の立場を思い出して口を開く。







「っと、そんな事より はこんな所でどうしたんだ?

ホールの方はまた軽くパニックになってるぞ?」



エドは軽くホールの方を振り返りながら口を開いた。






本当はもう少し、いやもっと と話をしていたかった。




話しには聞いていたが、実際に会ったのは今日が初めてだった。


もちろん話しをしたのだって初めてだ。





だがどうしてだろう?



もっと傍にいたいと思ってしまう。



もっと笑顔を見たいと思ってしまう。



もっと声を聞きたいと思ってしまう。



もっと、もっと・・・・・・・・・・・普通の少女のように過ごしてほしいと思ってしまう。








政治とかの鎖に縛られてはいけない気がする。



もっと自由に、もっと自分らしく生きてほしい。







だが、それを生まれながらの立場が邪魔をする・・・















はエドの言葉を聞くと、一瞬悲しそうな表情をした。



だがすぐにスッと微笑んで口を開いた。







「ちょっと、風に当たりたかったの。大丈夫、すぐに戻ります」






エドは のその無理をしているような笑顔を見て、胸が締め付けられるような感覚に陥った。



遠くから を探す人々の声が聞こえた。



ざわざわとどこか騒がしい音が・・・



よく聞くと、こちらに近づいてきているような気がする。






でも、それがどこか別世界での出来事のような気がした。



そして、気づいたらエドは を強く抱きしめていた。







「エドッ?!」



が驚いて声を出す。



声がだんだん近づいてくる。



もしこんな現場を見られてしまったら・・・



頭の中に浮かぶのは怒った父の顔と、処罰という文字だけだ。








はもう一度エドに呼びかけようと口を開こうとした。



だがそれよりも一瞬早くエドが口を開く。











「無理して笑うな」









エドの言葉に、 はビクッと反応する。



だがエドは構わず続ける。






「無理して笑うな。辛いならそう言えばいい。周りがどう振舞おうと だ。

・・・・・・・・・・せめて、オレの前でだけは無理なんてするな・・・」



エドはそう言うと、さらに強い力で を抱きしめた。



を探していた声が、違う方向に向かっていくのが分かった。



徐々に声が遠のいていく。



はそれが分かると、ギュッとエドの背中に腕を回した。



そして震える声で言う。







「エド・・・・・・・私、本当は結婚なんてしたくないの。

あんな、形だけの結婚なんて・・・・・したくない」



はそれだけ言うと、エドの肩に顔を埋めて泣き始めた。


初めて自分の意見を聞いてくれた。



私の意志を・・・


私の思いを・・・



たったそれだけなのに・・・・・






私の胸はいっぱいになって涙が次々と溢れた・・・









エドはそんな泣き続ける をずっと抱きしめていた。





泣いているなら笑わしてやりたい。



悲しんでいるなら慰めてやりたい。



傷ついたなら傍にいてやりたい。









・・・・・・・・・・・・自由を望んでいるなら俺が・・・













エドの心の中に、そんな想いが浮かんできた。







籠の中の鳥は、青い空を望んで小さな窓から区切られた空を見上げる。



閉じ込められたまま、悲しく死んでいく姿なんて見たくない。



自由に空を舞ってほしい。











鍵なら、オレが壊してやる・・・・・



















後書きと言う名の言い訳・・・


エドが偽者だ!!!
絶対に偽者だ!!!
なんか全然エドっぽくないような気がする・・・
自覚があります。
軽く流してもらえると本当に嬉しいです!!!!!(必死)

それと、続き書くの遅くなってしまってすみません!
生活リズムが一気に変わったので、体が変な調子です・・・
春休み、寝すぎたな・・・
これから徐々に慣らしていこう、オウッ!




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