タイトル『あなたに誓うは永遠の忠誠 第6話』
「ねえ、。この子の名前は何にする?」
アルは、子猫と戯れているに問い掛けた。
「あ、そうだね。・・・どうしようか?」
飼う事の許可が貰えた事と、子猫の可愛さですっかり忘れていたようだ。
アルとは顔を見合わせる。
暫く考えた後、が思い付いたように口を開いた。
「そうだ! エドかアルの名前、どっちかっていうのは??」
その発案に、アルは尤もな答えを返す。
「でも、それじゃ僕らが居るとき 間違えない? 猫を呼んだのに自分が振り返っちゃったら恥ずかしいよ。」
そっか とがしょげると、エドは勢いよく立ち上がりこう言った。
「悩んでるんならオレが決めてやる!・・・そいつは”ミー”だ!!第一声がそうだったからなっ。」
エドは、自信あり気に言い切る。
『 そりゃ無いよ、兄さん・・・ 』アルがそう思ったのも知らず・・・
「いいわ、エド! この子は、今日から”ミー”よ。第一声が名前になるなんて素敵じゃない♪」
は心の底から喜んでいるようだ・・・
「だろっ!? さすが、だな!」
「ほらっ、お前はミーだぞ〜♪」
エドは ミーと名付けられた子猫を抱き上げ、頭を撫でた。
も一緒になって、可愛がる。
そんな二人を、アルは心配そうに見ていた。
『 どうか、この二人のネーミングセンスが子供に影響しませんように・・・ 』
切実に願うばかり。
「ふう、いいお湯でしたっ。」
風呂を上がったばかりのは、熱を冷まそうと外に出た。
今日は月が綺麗だ そんな事を思いながら外へ出ると、階段にエドらしき影が座っているのが見えた。
「・・・エド? どうしたの、そんなところで。」
不思議に思って声を掛ける。好意を抱いている人を間違えるはずが無い。
振り返ったのは、やはりエドだった。
「おう・・・」
エドは自分の隣に座れるよう、スペースを空けてくれた。
「なんか・・眠れなくてさ。」
が隣に座ると、少し はにかむように言った。
しばらくの間、沈黙が流れる。しかし、気まずくは無く むしろ心地よかった。
二人を程よく照らす月、包み込むような風
そんな雰囲気に身を委ねていると、ふとが喋りだした。
「いつかはエドたち、いなくなっちゃうんだよね・・・」
昼間のことを思いだしたのだろう、心から残念そうに言った。
「・・・あぁ。」
あえてそっけなく、エドは答える。
「寂しいな・・私の周りね、同い年くらいの人がいないの。遊べる人がいなくなっちゃう。」
この言葉に、エドは少し間を置いてからこう言った。
「遊べるかは分からねぇけど、一緒に居る事くらいは出来るぞ・・・明日、一緒に図書館行くか?」
「・・・えっ! いいの!? でも、二人の調べものの邪魔になっちゃいそう。」
の返事に、エドは苦笑した。
「邪魔になんて、なるわけねぇだろ? ・・・明日からは、同じ場所に居ろよ??」
「・・・うん、ありがとう。」
は 嬉しそうに返事を返した。
それで、今まで一緒にいなかったのか・・・ エドはの気遣いに驚いた。
「じゃあ、お仕事が終わったら行くね。」
「・・・手伝った方が早いよな?」
エドは、少しばかり感謝の気持ちを込めて提案する。
最初は断っていたも、エドの根気に負けて頷いた。
「もう寝るね、おやすみ。」
は立ち上がった。
「おう、また明日な。」
エドは振り返って見送る。
「あ・・・ちょっと待て。」
エドはを呼び止めた。はきょとんと立ち竦む。
「その・・寂しくなったら、あの猫の名前・・・変えていいぞ。オ、オレの名・・前とか・・・・」
エドは真っ赤になっていた。そんな様子を知ってか知らずか、の顔も赤くなった。
「うん・・・ありがとう。」
そう言うと、は中へと戻って行った。
今夜は 眠れそうもないわ・・・
そう微笑みながら。
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