タイトル『偶然?運命?神の悪戯?・・・私は貴方を信じてる 第2話』



















ハァッ・・・ハァッ



はもう少しで頂上という所まで来ていた。



歩いて10分程の距離でも、山道は女の子にとって結構辛いのだ。



それでも早く家に帰るため、残りの体力を考えず頂上を目指した。



頂上へ着き、ふと、今はもう使われていない井戸の方を見た。すると・・・・



「・・・えっ!?誰か倒れてる!」



傍に駆け寄ると、自分と同い年位の青年がうつ伏せに倒れていた。



急いで意識を確認しようと自分にもたれるように青年を仰向けにした。



その瞬間、ドクンッ!と鼓動が早くなった。



日本ではまず少ないだろうと思われる金色の髪は目立っていたものの、その整った顔立ちには気付かなかったから・・・






は自分の顔が赤みを帯びている事に気づき、慌てた。






「なっ、何してんのよ私!!彼は意識が無いのっ!すぐ運ばなきゃ!!!」



けれど、自分1人で自分より少し背の高い男の人をかつぐのは無理だと言う結論に達すると、大人しくこの人が目覚めるまで待つ事にした。



そして、そっと草の上に寝かせ自分の制服のブレザーをかけた。





すでにの頭には、「急いで帰る」という文字は無くなっていた。       



その代わり「この人の傍にいなくては!」と言う、不思議な感覚に頭を支配されていた。









「ん・・・」   


草をもてあそぶ風の音と、母親の声に似た優しい歌声にエドは意識を取り戻した。



辺りは先程と違い、夕焼けだった。   



状況が飲み込めないまま体を起こすと、今度ははっきりと母に似た声が聞こえた。



「あ、気が付きました?」



「か・・・!お前誰だよ!!というか、どうして俺は穴の中にいないんだ!?」



次から次へと続く質問には少し呆れたが、「言葉は通じるんだ。」と安心して質問に答えた。



「私は、です。どうして穴に居ないかなんて知らないけど、あなたはここで気を失って倒れていたの。



 ここを通ってよかった。ここの道人なんて滅多に通らないから、あなた見つかってなかったかもよ?」
















今の状況が分かったのか分からないのか・・・目の前の人物はブツブツと何か口にした。



「銀時計を拾おうと...でも今手の中にある....夢か?いや、違う・・・」  



「お前はどこの人間だ?・・・軍では無いし。少なくともイシュバールじゃねぇな。目も髪も違う」



「えっ?もちろん、軍人だなんて違いますよ。私、女ですし・・・普通の日本人ですけど」 



質問内容をあまり理解出来ないまま答え、固まっていると、今度は叫び始めた。



「だ〜〜から、違う!日本人なんて種族聞いた事ねぇっての!!国家錬金術師に嘘付こうなんていい度胸だっっ!!!」



ジャラリ、と 目の前に銀時計を押し出されたはあっ気に取られた。



そして暫く動かなかったが目を見開いて、



「・・・国家、錬金術師・・・・・?」 



とだけ呟いた。



これにもっと驚いたのは、銀時計をの目の前に突き出した本人である。
















「・・・お、お前国家錬金術師を知らないのか?俺は鋼の錬金術師、エドワード・エルリックだぞ・・・
















語尾の方は自信を無くしたのか、声が小さかった。



は「知らない」という顔で、コクンと頷いた。



「嘘だと言ってくれーーーーっ!!」    彼はまた叫んだ。   







不安を感じたは、「始めての外国で戸惑っているのだ」と勘違し、立ち上がってこう提案した。



「日本初めてなのに、よくこんなに喋れますね♪もう夕方だし、とりあえず私の家に来て下さいっ!こんな寒い所にいたらバカでも風邪ひいちゃうわ。」



エドの手をとると、自分の家に向かって歩き出した。



最初は慌てていたエドも、急に見せられたにこやかな笑顔と暖かい手に、顔を赤くし俯き、素直に従った。







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