タイトル『偶然?運命?神の悪戯?・・・私は貴方を信じてる 第3話』



















夕日と月ちょうど入れ代わった頃、2人はの自宅に着いた。



エドワードと名乗る少年は家の作りに感心したようで、寒いのなか家の外観を見ている。



「・・・俺の方の家とはだいぶ作りが違うんだなぁ。」



は、ほっておいたらいつまでも外にいそうなエドに、半ば呆れて声を掛けた。



「いつまでも外にいるとホントに風邪ひいちゃいますよ!早く入って下さいっ。」



エドはの言葉に渋々目線を移し、玄関の扉をくぐった。
















「お腹空いてます?私は夕食まだだから。何が好きですか?作れるものであれば作りますけど・・・」



エドがリビングに入る頃には、はもう荷物を片付けエプロンを着ていた。



制服の上に構わずエプロンをしているので少々見慣れない姿だった。



そんな姿に、”可愛い”と少し頬を赤くしたエドだったが、今晩は冷えるということで大好きなシチューをリクエストしてみた。



するとは笑顔で、キッチンへ入って行った。



「得意料理を有難う。時間かかるかもしれないけど、頑張るから。」











エドは、初対面のオレにこんなに親切にしてくれるんだなあ と感心しながら、座っていてくれと促されたソファーに腰掛ける。



座った途端、睡魔に襲われた。



一日中資料と格闘して疲れた体に、柔らかいソファーは充分過ぎる程の眠気を与える。



段々とシチューの香りがリビングに届く頃、エドワードは自分の意識が遠退くのを感じた。
































「出来ましたよ〜!」



は自信ありげな声でリビングに戻った。



リビングは、出来たてのシチューの匂いに包まれる。



そのシチューをテーブルへ並べようとした時、の視界に眠るエドワードの姿が映った。
















「・・・疲れてたのね。よかった、うちに来てもらって。」
















そう言いながら微笑むと、寝ているエドの隣へ腰を下ろした。



「”エドワード”さんだったわよね、確か。どうして日本へ来たのかしら・・・?」



答えの無い質問を次から次へと繰り返し、エドワードの寝顔を見つめた。







「・・・起きている時はあんなに強そうな顔をしているのに。寝ていると可愛いかも。」







は無防備な寝顔に視線を奪われ、それに気がつくと少々苦笑した。



「初対面なのに不思議。同じ空間にいて、嫌な空気を全く感じない。」








はもう1度、寝息をたてるエドを見つめた。



綺麗に結わえたれた、金色の髪


側に置かれた、赤いコート


左手だけ外された手袋


・・・・・



ふと足の先を見ると、ズボンの裾から人間の足の色ではない足が覗いていた。
































「・・・機械・・・」
































それを見つけると、急に心が痛くなった。



かわいそうなど、そんな気持ちは浮かんで来ない。



ただただ、心を締め付けられる感覚に襲われる。



・・・この人の助けになりたい



は心の底から、そう呟いていた。
















エドにかけようと、毛布を手にしていた時だ。



の脳裏に懐かしい歌がよみがえる。



小さい頃、母がよく歌って聞かせてくれた英語の歌。



あまりに小さい頃だったため、覚えている歌詞も曖昧かもしれない。



それでもは、エドに毛布をかけ隣に腰を下ろすと、ひとつひとつを思い出すように歌い始めた。









冷めかけたシチューと静かなリビングに、の歌声とエドの寝息だけが確かに混じりあう






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