タイトル『カタルシス 〜精神の浄化〜 第2話』
ド ク ン ッ
ロイの心臓が大きく脈打つ。
照らされたその顔は、世界中の何よりも美しく 暗い明かりに映えていた。
髪は しなやかに流れ、淡く色付く。
今までに、これほど美しく
妖しい女性を見た事があっただろうか・・・
しかし、整い過ぎたその無表情な顔は 人間であるかでさえも疑問に感じさせた。
「・・・あぁ、すまない・・・」
動けないでいるロイを尻目に、その人は林檎を受け取り
踵を返す。
そして、進行方向へ歩き出した。
「ま、待ちたまえ・・・!」
ロイはただ叫んだ、理由も分からず。
人通りの無い狭い路地に、その声だけが
木霊する。
再び呼び止められ 振り返った彼女に、やはり笑顔は見受けられなかった。
『 やはり、笑ってはくれぬのか。まるで、人形のようだ・・・ 』
ロイは、この女性の笑顔が見たいという 突発的な衝動に駆られた。
次の瞬間、口からは慣れた言葉たちが零れだす。
「私は、ロイ・マスタング。散歩に来ていたのだが、どうやら迷ってしまったようだ。・・・案内してはくれぬかね?」
「断る。」
それだけ言うと、彼女はまた歩き出していた。
ロイの言葉を予測していたかのようではなかった。
根本的に他人を受け付けないような、拒むような・・・彼女の返事は早かった。
唖然となるロイをよそに、距離はだんだんと開くばかり。
諦めきれないロイは、彼女を追って走り出した。
「何故だ! 何故、君は人を拒絶する!?」
その言葉に、ピクリと彼女は反応し振り向く。
「私と係わって、いい事など何も無いからだ。・・・すぐに立ち去れ。」
向けられた表情は、哀しくも美しい微笑み。
「・・・ッ」
ロイは、自分の顔が
火照っていくのを感じた。
しかし、彼女は気付いていないのだろう・・・暗すぎる外灯が、ロイの顔を照らし出してはいないから
「美しい笑顔だ・・・ちゃんと、笑ってくれ・・・」
ロイは
感嘆の声を漏らした。
しかし、彼女は自分が微笑んでいることに気付いていないようだった。
「私に、感情など存在しない。」
また表情を戻してしまうと、ロイの静止に構うことなく歩き出した。
「・・・何故 ついてくる」
彼女は、半分呆れたような声を出した。
しかし、そんな様子に構うことなく ロイは後ろから返事を返す。
「君と話がしたいからだ。」
ピンと張り詰めた空気が、辺りを駆け抜ける。
歩みを止めた彼女が、戸惑いがちにこちらを向いた。
「
碌な事が無いと言っただろう・・・」
「それでも構わない。」
ロイの即答に 少し驚いたような表情を見せた彼女だが、口元は 少しだけ緩んでいた。
細い路地のさらに奥にある、こじんまりとした建物の前で彼女はポケットを探る。
「ここが・・・君の家かね?」
カチャリと鍵を開けると、彼女は半分だけ扉を開けた。
「そうだ・・・」
彼女は、暫くそのまま佇んでいた。
こちらを向こうとしているのだろうが、身体は少しも動いていない。
「・・・明日もまた、来ても良いかね・・・?」
ふと、ロイは問いかける。
「結構だ。」
無愛想に返事を返すと、パタリと扉は閉まってしまった。
「・・・・・クッ」
彼女の最後の対応に、ロイは声を抑えて笑い出す。
『 「 結構 」という言葉に、拒否の意味は存在しないのだよ・・・ 』
そして、彼女の家を見上げ呟いた。
「明日も明後日も、来てしまうのだろうな・・・」
『 初恋とは・・・こういうものか? 』
微笑んで踵を返す。
その足取りは、
本来の目的を忘れた・・・
軽快な足取りだった。
あとがき。
ロイさんが・・・無○になりつつある気がするのは私だけでしょうか?(苦笑)
これから、カッコよくなりま・・・す(きっと!!)
シリアスは、書きがいがありますね^^
テスト勉強なんかそっちのけで書いてしまいそうですvv
テストが・・・近付いて参りますよ(滝汗) 赤点、採らないように頑張ります;;
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