タイトル『ココロノトビラ 第2話』
















「よし、全員揃ったな!」



何の変哲も無い上官が言った。



「また戦が始まる、我が軍の栄光を!!」



出世のためか、何のためか。



異様にやる気を出している。



『 あぁ、あの人が見ているからか・・・ 』



建物の上層部からこちらを眺めている、更にお偉いさんだ。



お気に召せば出世も早いのだろう、その上官の声はいつも以上にとどろく。



あんな奴は違う、同じ上官とだしても。マスタング大佐は偉大なお方だ。



は声を荒げる上官の脇に控える、黒髪の上官を見つめた。



ここに居るのに、既に次の行方を知っているかのような目が好きだった。



あのお方のためになら、とはゆっくり瞳を閉じた。












































勢いばかりの叱咤激励しったげきれいが終わり、は配属された部隊へ移動しようと歩き始めた。



その時だ、ふと大柄な男たちに雑じった小柄な少年が目に入る。



『 あいつも戦地へおもむくのか?・・・まだ子供じゃないか。 』



深く被った青い軍帽から、鮮やかな金髪が覗く。



は軍部の中では若い方だが、目前に居る少年は自分より更に年下に思えた。



視線を逸らせないでいると、振り返った少年と視線が絡み合う。




ドクンッ



の心臓は大きく脈打った。



少し大きめな軍服に身を包み、鋭い視線がを捉える。



「・・・女の、軍人か・・・」



を見つめたまま、その少年はボソリと言った。



「女で何が悪い、私は国のために働くまでだ。」



ムッとし、は言い返す。



「・・・そーかよ。」



自分の本位を見透かされたような、半ば諦めたようなセリフを吐き少年は立ち去った。



























































『 顔は綺麗なくせに・・・感じの悪い奴だ。 』



配属された部隊に辿り着いてからも、はあの少年のことが引っかかっていた。



未だ若いにも関わらず、既に戦場に出るということは・・・・・



「国家錬金術師、か。」



周りの状況に疎いだったが、自分よりも早く国家錬金術師になった者がいると言う噂は知っていた。



それまでは、が最年少国家錬金術師だった。



記録がどうと言うことでは無いが、信頼を置く上官からの情報だったので頭の隅にはあったようだ。























「整列!!」



聞き覚えのある声が響いた。



その声に反応し、辺りのざわめきが静まる。


















「これより、我らは戦乱の最前線へ向かう。しかしお前たちを死なせに行くのでは無い・・・ついて来い!!」


















「はっ!!」



いつも思う、大佐の一言は勇気をくれると。



戦意ががれ、幾度となく死を選ぼうとした時も大佐の声で奮い立たされた。



自分に背中を預けてくれると言ったときも、この人の為ならばと忠誠を誓えた。



私はこれ以上の人には巡り会えないだろうと思っていた。



























































!」



後ろから声がした。



急いで振り返り、声の主の元へと駆けて行く。



「お呼びでしょうか。」



息を切らせもせず駆け寄ってきた部下に、上官は満足そうな表情で頷いた。



「今回の戦に新しく加わる者を紹介しようと思ってね。彼は、今回私の近くにいさせるつもりだ。」



ロイは後ろにいた少年を指差す。



「・・・また会ったな。」



視線の先にいた人物を見て、は驚き息を呑んだ。



見れば、先ほど憎まれ口を叩いた少年ではないか。



「君には紹介しておこうと思ってね。彼は鋼の錬金術師、エドワード・エルリックだ。」



知り合いだったか、というような表情でロイは付け足す。



「ったく、オレはあんたの側になんていねぇよ。さっさと終わらせちまおうぜ、こんな無意味な戦い。」



「・・・おまっ、上官になんて口を!」



驚いて反論するに、ロイは苦笑してそれを制止する。



「あぁ、構わんよ。しょうがない奴でね・・・エド、こちらは」



「分かってるよ、神水の錬金術師。だろ?」



が驚いているのを良い事に、エドと呼ばれた少年は続ける。



「宜しく、。・・・でもオレ、あんたの世話になる気もねぇから。」



ふと視線を向けられ、ようやくは言葉を返す。



「・・・あぁ。」



の反応を少しだけ楽しんでいたロイだったが、定刻が近い事に気付き口を開く。



























































「さぁ、行くぞ。・・・死ぬなんてさせんからな!」



























































「はい、大佐!」












































「言われなくとも・・・!」















NEXT→




Created by DreamEditor