タイトル『ココロノトビラ 第3話』
轟音が鳴り響く
熱風と共に、鼻を
劈く異臭が襲う
吹き飛んだ肉片から放たれる、鮮血の・・・・・
水は大地に恵みを与え、潤いを
齎す幸いの贈り物
しかし、時としてそれは最悪の武器と化す
パチィンッッ!!
・・・・・ゴォォォン!!
少し前方から聞こえる、発火布の音
掛からずして届く、低い地響き
戦地で麻痺した耳には、それは生存の証にしか聞こえない
この音に安堵感を覚えるようになった自分に、つくづく嫌気が差してくる
「・・・嫌な適応能力だ・・・」
は自分を呪いたくなった
いつになっても慣れることのない行為の癖に、音を聞くと安堵を覚える自分が居る
「・・・国のため、か。」
前線で自ら危険を
冒して動く上官を見る
この人の部下でなかったら、何の為に軍属になったのか分からないままだったのだろう
『 この方の為なら、何だって出来る 』
路頭に迷った自分を導いた上官は、新たな原石を探し出した
上官のすぐ後ろで両手を合わせる、まだあどけなさの残る彼
彼もこの人柄に惹かれたのだろう
ふと、は二人の瞳の輝きが同じだと気付く
「・・・・・あぁ、そうか・・・・・」
自分には無い輝きを、この二人は持っているのだと思った
明日を信じる、希望の光
決して諦める事を知らない、無垢な心
そして、人を惹き込むその眼差し
いつの間にか、その姿を目で追っていた自分
上官よりも強い気がするその眼光に、は惹かれているのに気付く
危なっかしいその全てを、自分が護りたいと思った
自分が持ち得ないものを持つ、その少年を
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